「栃木県は脱税犯にも積極的に公金をばら撒きます」(人権派知事福田昭夫)。写真は『県子会社』の異名を持つオリエンタル技術開発(株)
 
 困ったら同和

 米国大リーグに所属するあの?イチロー選手?が、脱税を犯していた。
 庶民からすれば気の遠くなる程の収入を得ていながら、彼にとっては僅かなお金(数千万円)も、納税するのが惜しくなったという事なのか。
 国民の義務も果さない男が棒っきれを振り回しながら「少年に夢を与える」などと大言壮語を吐くその姿は、滑稽ですらある。

 しかし、我が国の納税に対する意識の低さには呆れるばかりだ。修正申告といった制度があるが故、少々の脱税では犯罪として認知される事すらないのだ。
 米国をはじめ、ナショナリズムが台頭する西欧諸国では、脱税は国家に対する背信行為と捉えられ、殺人や覚醒剤犯罪と同等かそれ以上の、最も恥ずべき行為と位置付けされ、重い処罰を受けることになる。

 逆に我が国では「バレても払えば済む。今回は運が悪かった」と、脱税する者の大多数は罪の意識すらないのが現状である。
 斯様なほど脱税に対し寛大な故に、刑事告発にまで至ることは滅多になく、修正申告に応じ反省の態度を示せば実刑になることはまず無い。脱税で実刑を受けるということは非常に珍しい事なのだ。

 それだけに、前号で報じた元栃木県議の安田稔は、悪質脱税犯として実刑を食らい刑務所落ちした貴重な人物といえる。 
 県議として公職の立場にいた者が、納税義務も果さないばかりか極めて悪質と断罪されたのだから、実刑は止むを得ない事だ。
 しかも、一審で実刑判決を言い渡されたのを不服とし上告するに至っては、反省する気持ちが無かったことが伺い知れる事から、もっと重罰(実際は約一年間の服役)を与えるべきだったと思うのだが……。

 現在の安田稔は、オリエンタル技術開発(栃木市吹上町1309-1)の会長として、見事?社会復帰を果している。
 付け加えれば、この会社は栃木県からの用地測量等の業務委託によって存続している、言わば県お抱え企業である。
 脱税を犯し裁きにあった者を、今では栃木県が税金を支出して支えているのだから不思議である。
 業務を発注する県側の見解は「罪は過去のものであり問題は無い」としているが、果してその通りなのか疑問だ。

 罪を償った者が、社会から謂れ無き迫害を受けたとなれば問題である。
 勿論、安田稔に於ても服役したことで罪は精算されたといってもよいだろう。だからといって、罪を犯した以前の立場に、全てが立ち戻る訳ではない。
 例えば、児童買春を犯した教師がその罪を償ったからといって、公立学校に復職できるのか?
 幼児虐待の過去を持つ者が、保育士の資格が有るといって、公立施設に就職が可能なのか?
 懲戒免職を受けた公務員が復職出来ないのと同様、犯した罪によってはその後少なからず制約があるのは当然の事だ。

 なかには、禊を済ませたなどと言って、自ら退いておきながら再出馬する恥知らずな政治家がいたり、服役そのものが仕事だったりする稼業人の様に、出所後も歓迎される、一部これ等に当てはまらない事例もある。

 只、安田稔が実刑を受ける程の悪質な脱税をした以上は、公金が絡む業務に携わる資格は制限されるべきであることだけは確かである。
 県側の『罪を憎んで人を憎まず』の高尚な考え方もいいが、生真面目に税金を払っている納税者からしてみれば、到底納得出来るものではない。
 

 
 更に困ったら警察

 さて、前号の新聞発行後に当紙に一本の電話が入ったのだが、その内容は「安田会長のムショ仲間だが、話をしたい」との事で、同時に“2億円約束手形の無効”を証明する為の、亡き吉羽宏四郎が差し出したとする“覚書”をFAXしてきた。
 しかし、この“覚書”こそが、当時保釈中であった安田稔が実刑を免れようと策を講じていた証となったのだ。
 手形の無効を証明さえすれば当紙の追及をかわせるとでも思ったのか、結果的に馬脚を表わし、愚かにも墓穴を掘ったのだから哀れだ。

 『全国同和対策促進会』=栃木県連合会に所属する傍ら暴力団とも関わっているという電話の男が言うには、自らも同席した上で安田稔から直接話を聞いてくれ、との事だったので、貴重な資料を戴いたお礼も兼ねて、当紙取材班は栃木市に足を運んだのである。
 取り敢えず、安田稔を突くと同和団体なり暴力団が介在してくることが判明したが、これだけでも十分怪しい企業とも言える。

 事実無根の中傷(事実に基づいた糾弾です)を受けたと主張するならば、普通なら弁護士を代理人に立てるのが一般的である。
 それを、特殊な団体或いは人物を差し向け、何らかの圧力をかけるつもりなのか、何れにせよ県指定業者のトップがとる行動にしては余りにお粗末である。

 さて、取材場所には約束通りに、安田稔と前記同和団体の県連合会々長、それに電話をかけてきた暴力団関係者とその舎弟?らしき男がやってきた。
 安田稔とは事前に電話取材を行なっており、その時は「約束手形は吉羽宏四郎に頼まれて振り出したものだ」と言っていた。
 更に「手形を利用し“ある金主”からゼニを引っ張るつもりだ」と、吉羽の残した言葉と手形を振り出した経緯を説明していた。

 だが、直接取材の当日には、自らが吐いた言葉も忘れてしまったのか、全く別の説明になった。
 平成3年8月、安田稔が逮捕(後に保釈)される以前、安田の指示のもと某ゴルフ場開発に絡んで土地所得(地上げ)に従事していた吉羽宏四郎が、土地転売で得た利益から2億円を、自身の借金の穴埋めに流用したというのだ(天国の吉羽さん、本当ですか?)。
 後に、安田の共犯として出頭した吉羽は、この2億円余りの使途不明金を追及される事になったのだが、1年余り拘留されたものの黙秘を貫いたというのだ。
 勿論、返済を受けたとされる吉羽の債権者向井忠幸も、法廷の場で返金の事実を否定したという。

 安田にすれば、吉羽に資金を預け指示を出していたとはいえ、勝手に流用された金まで自らが被るわけにはいかないと、黙秘は当然であると考えていたが、安田の担当検事のある申し入れによって情勢が一変したとの事だ。 
 それは「吉羽が黙秘した2億円の使途行方を特定すれば、貴方(安田)の実刑はありませんよ」と、検事からの減刑条件の取引だったと言うから驚きだ。

 即ち『安田が供出した資金から吉羽が経理操作で2億円の裏金を作り、それを個人債務の返済に回した』と結論付けすれば、安田を起点とする金の流れが全て解明できるので、情状酌量の余地があるという事だ。
 当時の安田は見苦しくも上告を繰り返し、結審は最高裁に委ねられていたが、本人も実刑覚悟の状況だったらしいから、検事からの取引はまさに“渡りに船”だったと語っていた。

 そこで安田は、法廷で2億円の遣り取りを黙秘否定していた吉羽と向井に対して、供述及び証言を覆すようにと嘆願(命令じゃないの?)したと言うのだ。
 その時に、お互いの協力関係を明確にする為に、先の手形と覚書を作成したと言うのだが、これでは安田が語った当初の話とは、全く違うストーリーになった事になる。
 結論を先に言えば、安田は実刑判決を食らった訳だから、この策略も徒労に終わった事になる。

 しかし、検事が被告(安田)相手に取り引きを持ち掛けたという話も胡散臭いが、話を二転三転させながら堂々とそれを語る安田本人の出鱈目さには呆れてしまう。

 さて次回は“覚書”全文を掲載し、事実の解明に迫りたい。
 ところで、安田が取材終了間際に「既に弁護士を通して警察に相談している」と言っていたが、何の相談なのかよく解からない…?
 取り敢えず安田にとっては同和や暴力団、そして警察と弁護士も、全てが横並びの頼りになるファミリーといったところか……。
 恐れ入りました。
(つづく)

 
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