――以上が、N興業社長の話に基づく国会議員秘書との電話でのやり取りだ。
この秘書の業者に対する態度は一貫して高圧的であり、有無を言わせずに従わせようとする様子が見て取れる。しかも、事実確認のため当紙が取材を要求したのだが一切応じず、逃げ回る始末である。
最初の取材要請から3週間も過ぎた頃の今月5日、漸く秘書Kを捕まえ確認すると、H社長には電話を入れて何回か話をした事は認めた。
内容に付いてはよく覚えていない、と惚けながらも「信義違反になるような事はしないほうがいい、W先生もH社長の事を心配しているし、ここは穏便に先方の会社と話し合って解決した方がいい」と話した記憶があるとした。
更に「自分は本当にN興業がどの様な経緯でその仕事を受注したのか解からなかったし、関係もしていなかった。自分のところのW先生がT代議士から頼まれてそれを自分に話をしてきたという事なので、H社長に話をしただけであり、詳しい話の中身については全く知らない」と答えた。
さて、この一件はどの様に解釈すればいいのか。
本来なら政治的要素が絡むべきでない指名競争入札なのだが、大きな利権が絡む場合、当然のように政治家が介入してくる。
今回の一件は、○○県に絶大な勢力を持つ某党(O党首)の秘蔵っ子=T代議士の関連会社が、長年に亘って談合をすることで県発注の公共事業を牛耳って来た、という事実が前提にある。
その大切な“米びつ”に手を突っ込んできた会社が偶然にもW先生が面倒を見ていた会社だった。そこでこの件をうまく取りまとめ新たな利権を得ようと、W先生は考えたのかも知れない。
一方のT代議士はそれを阻止しようと『先輩議員であるW先生に迷惑を掛けられない』と尤もらしく丁寧に断って、一件から手を引いてもらったのか。
そんな両者の思惑が微妙に絡み合う中を、業者を恫喝しながら飛び回った秘書も、挙句の果てに当紙に追い回された。
そして、何処の誰が出てきてもいいから、仕事と金になればいいとするN興業社長。結局、どいつもこいつも利権に群がる醜い悪党だったのね…。
次回はその混迷振りを報告します。勿論実名でネ。
|