石膏ボードを不法投棄

 石膏ボードと言えば、軽くて丈夫で遮音性や耐火性にも優れており、様々な建築物に用いられている建材である。しかしこういった廃材を棄てると環境への悪影響を及ぼす可能性が高いため、廃材の中でも石膏ボードやアスベストといった有害物を取り除いた上で廃棄する、という事が義務付けられている。
タイガーのマークで国民的に認知されている業界大手=吉野石膏も、早くから環境に配慮した製品の製造やリサイクルに力を注いでいると聞く。

 さて、そんなメーカー側の弛まぬ努力を知ってか知らずか、石膏ボードを不法投棄している処理業者がいた。本稿で連載三回目となる(株)北総技研だ(以下「北総」)。
 北総が(株)アドバンスと結んだ業務協定契約の内容を履行せず悪行の限りを尽くしていることは、本紙先月号でも概略を述べた通りだが、本稿ではその中の石膏ボード不法投棄にスポットを当ててみよう。

 それでは画面下の資料をご覧いただきたい。これは平成13年5月28日に千葉県から下された、産業廃棄物処分業許可の証明書(の1ページ目)だ。
 着目すべきは1,事業の範囲―(2)産業廃棄物の種類―エの部分である。
ここには「ガラスくず及び陶磁器くず(自動車等破砕物、廃ブラウン管《側面部に限る》廃石膏ボード及び廃容器包装を除く)」と記されている。この部分だけ読むと分かり辛いが、前後を読めば、棄ててよいものは@廃プラスチック類AゴムくずB金属くずCガラスくず及び陶磁器くずDがれき類の五品目で、それ以外のものは棄てられないことが分かる。無論、ここでは石膏ボードを棄ててはいけないことになっている。

 そこで、上の写真をご覧いただきたい。件の処分場(銚子市)は前記五品目を棄てる場所であって積み込む場所では無いはずだが、何やらダンプカーに積まれている。どことなく異様な光景である。
このダンプカー、左上に名刺を掲載した山一商事の所有する車両で、この写真は平成14年9月5日に撮影されたものだ。

 実は山一商事は、以前から石膏ボードの混じった廃棄物を投棄しており、そのことが海匝支庁(かいそうしちょう=県の出先機関)による展開検査で発覚したため、ダンプカーに積み込んで持ち帰ったのだ。

 
 100-30=?

 山一商事によると、同社が投棄した分だけでも、石膏ボードを含んだ廃棄物の量は実にダンプカー100台分を数えるという。

 ところが、海匝支庁の指導に基づいて同社が持ち帰った量は、僅かダンプカー30台分だというのだ。即ち70台分の石膏ボードを含む廃棄物が、現在でもこの地中に埋まっていることになる。海匝支庁(県)は何をやっているのか。小学生でも出来る100引く30の計算が出来ないのか。
 果たして海匝支庁の職員が「まあ、こんなモンでいいよ山一さん。次回からは気をつけてね」と手ぬるい指導を行ったのか、それとも山一商事、或いは北総と特別な癒着関係でもあるのか、はたまたそれ以外に県民や読者諸氏を納得させる正当な理由があるのかは分からないが、とにかく棄ててはならない70台分のそれが、今も埋まったままである事だけは確かだ。

 そもそも北総は、平成13年7月頃から施設の無断設計変更を行い、場内ヒューム管の両サイドを深堀して、その深堀した土砂を農家にきゃく土として売り付けるという行為を行っていた。また同年8月頃から、産廃物の上に覆土をひいて行政の検査を受けた後、その覆土を剥がして更に産廃物を埋め込むなどの行為にも及んでいた。

 しかしこれらの行為が、同年10月に行われた千葉県、銚子市、海匝支庁による合同の立ち入り調査で判明し、5ヶ月間の搬入停止指導、1ヶ月間の事業停止処分を受けたのである。

 北総は、それから1年も経たない内にまたもや不法な投棄を行い、或いは排出業者(山一商事他)に行わせていたのである。
 悪質業者による不法行為が、その他善良業者の正当な権利を疎外し地域住民の生活環境を脅かすという許されざる現状を、行政は決して看過してはならない。
 北総技研よ、覚悟しろ!
〔以下次号〕

 
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